why me? リハーサルスタート
2020年3月、観客と2人で行う即興芝居 “why me?” のリハーサルをスタートさせた。
(本番に向けての練習の事を、演劇だと”稽古”と呼び、ダンス等だと”リハーサル”と呼ぶ。ぼくは後者をとる事にする。横文字の方がオサレなので)
即興芝居仲間2名の男(UくんとRくん)と、いつもインプロのショーを見にきてくれていた女性1名(Kさん)の計3名が、「お客さんと二人の即興芝居をしたいから稽、いや、リハーサルをしたい」というぼくのわがままに付き合ってくれた。
“役者の悪夢” と呼ばれるレッスン法がインプロ(即興芝居)にはある。
観客(役)の前で即興の芝居を行い興味を惹き続ける。観客(役)の人たちはそのパフォーマンスに飽きたり興味を持てなくなったら部屋から出ていくというものである。この “役者の悪夢” を、ヘルプで駆けつけてくれた友人UくんとRくんも知っていたので、この要領でとりあえず見ている人の興味を5分間惹きつけられたらクリアという目標を掲げリハーサルに臨んだ。
この “why me?” 企画の出演者は2名である。
1名は長澤。もう1名は当日劇場に足を運んでくれたお客さんだ。
Kさんにこのお客さん役をお願いし、その相手(長澤)役をぼく・Uくん・Rくんの3名でローテーションを組み5分ずつの芝居を行う事にした。
5分後、フィードバックを行い、組み合わせを変えてまた5分の芝居を行うというスタイルだった。結果的にKさんがずっと出演しっぱなしになったので、頬が少しずつこけていっていたが、ぼくは気づかないふりをした。
わりとちょろかった5分の壁
最初はぎこちなかった芝居も少しずつ勝手を知っていき、2〜3巡目あたりにはぼくもUくんもRくんも、それなりにコツをつかんでいた。
「苦戦するかな」と思っていた5分の壁がすんなり越えられたのだ。
しかしこれは実は、相手役をやっていたKさんの力によるところが大きかった。毎月インプロのショーを見ていたKさんには、インプロのいろはみたいなのがうっすらと、しかし確実に身に染み込んでいたのである。が、この時のぼくはそんな事など露知らず、「なんか、思ってたより難しくないわ。チョロいね。」などとほざき、前祝いのピザなどとろうとしていた。
この日は “5分の壁は超えることができた” という達成感で帰路についた。
この時、ぼくは感覚的に “20分間ぐらいなら感覚やノリでいけそうだが、30分間となるとべつの技術が必要だ” と感じた。
そして数ヶ月後、その認識が間違っていなかったことを知ることになる。