(前回の続き)
14:00になりステージに歩み出たぼく。
お客さんは拍手で迎えてくれた。
『why me?』とはなんぞやという簡単な説明を行なった後、客席に降りてお客さんとトークをしながら今日のゲストを誰にするか決める。
客席にいる67名からゲストとなるたった1名を選ぶのだ。
個人的にはここが一番気を張るところである。
事前アンケートでは
「ステージに立てますか」
という設問と、その設問に対して
OK / NG / 長澤のケアがあるなら頑張る
の3択の回答を用意している。
が、一つ前の記事に書いたようにどのお客さんがどの回答をしたかはすっかり忘れている。
苦戦しながらもどうにかこうにかゲストが決まった。
それが宮坂さんである。
後々ご本人に聞いたところによると
「雰囲気でアンケートには「ケアありOK」に◯付けましたけど、気分的にはガッツリ「NG」でした」とのこと。
たしかに、舞台上に上がっていただいたその瞬間から誰もが認めるほど、宮坂さんには「無理矢理上げさせられた感」が漂っていた。
眉間には皺が寄り口角は下がり切り、目線は地に堕ちたまま一度もぼくと合わせてくれない。不快指数は余裕で100超えてますけど? みたいな表情をされていた。
「これはマズイ…」
焦ったぼくは本編前のエクササイズタイムで宮坂さんの緊張感を解そうと試みるが、目立った効果が見られないまま時間は過ぎていく。
本編の時間が近づくにつれて宮坂さんの表情はさらに恐怖に歪んでいった。
「大丈夫ですよ〜全然怖がらなくていいですからね〜」と投げかけるも宮坂さんの心に全く響いてない事がわかる。ぼくは心の中で「あ、vol.2は失敗だわ。vol.3で頑張ろう」と早くも次の公演に照準を合わせ始めていた。
が、しかし。
が、しかしである。
本編が始まると、先程までの曇った表情はどこへやら。
天真爛漫な表情を見せてくださり、終盤では涙を流しながらの演技となった。
「中に別人格おるんか」と勘繰ってしまうほど、堂々とステージ場に存在していた。ダイジェスト動画で宮坂さんの表情の移り変わりをご覧いただける。是非チェックしていただきたい。
そして今回、新たな試みとして
「あなたがこの芝居にタイトルをつけるなら」
とお客さんからタイトルを公募した。
そして決まったタイトルが
『とりあえずコーヒーを』である。
いずれも甲乙つけ難かったが4択までぼくが絞り、
その4択の中からお客さん全員で決めてもらった。
(タイトルをお客さんにつけてもらうというアイデアは、個人的にはかなり気に入っている)
宮坂さんの勇気と、
それを観客席で見てくださるオーディエンスの方々と、
スタッフの協力によって
『why me?』vol.2の上演は成功した。
本当にありがとうございました。
少し充電した後vol.3に向けて動き出します。
今後もご声援のほど、よろしくお願い申し上げます。