名付け親


前回の#61の記事で出てきたM.Nさんだが、
ぼくはこの方とは今年4月に行われた『why me?』vol.2で初対面であった。

『why me?』では、本番終演後、お客様にアンケートをご回答いただいている。
アンケートの内容は
「あなたがこの物語にタイトルをつけるとしたら?」
である。

vol.2では多くの有力候補を抑えて
『とりあえずコーヒーを』
に決定した。
こちらの記事参照)

そのタイトルを付けたのがこのM.Nさんであった。
ぼくの共通の友人がこのNさんを誘ってくれていたのである。

本番直後、ロビーで客出しをしていたぼくに
その共通の友人は教えてくれた。
「このNさんが今日のタイトルを書いた人だよ!」

お礼を言おうと思ったその時、ぼくの体は硬直した。

 


人は見た目が9割


見た目だ。

見た目が怖いのだ。

鋭い目つき。
ぼくよりひとまわり大きい体躯。
足元はサンダルであった。

ぼくはピンときた。

「半グレ…だな」

“人は見た目が9割”
であれば、目の前に現れたNさんの9割は半グレ。
そして残る1割もまぁ間違いなく半グレであろう。

「この『why me?』ってのは、お金がそんなに集まるものではないんですね…
ですから、シノギとしてはあまり相応しく無いと思いますが…」
と説得して帰ってもらおうとぼくは決めた。
無論、前歯の2〜3本を折られるのは覚悟した。

次の瞬間、男は口を開いた。
「面白かったです!」
Nさんは興奮した様子で、観劇後の好意的な感想をぼくに伝え続けてくれた。
落ち着いて沁み通るような声であった。
そのギャップが、ぼくの警戒心を解かせるに十分な内容であった。

 


見た目より心が大事


Nさんは熱いコメントを言い終わった後、満足そうな様子で帰っていった。

ぼくは人を見た目で判断してはいけないのだなと反省し、
そしてそれ以上に、紛らわしい見た目で来ないでほしいとNさんを心の中でなじった。

その日の夜。
Nさんからこちらのコメントが届いたのである。

Nさんはそこから『why me?』プロジェクトのセカンドクリエイターとして参加してくださっている。

このNさんと長澤との関係は一歩、この後さらに深くなる事になる(続く)

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