感想


今回の『why me?』を終え、ご来場いただいたお客様から頂いた感想のなかに、とても印象に残ったものがある。

即興って稽古の一環ってイメージだし、それをお客さんに見せるってどうなるんだろって思ってた 即興でありがちなぶっ飛んだ設定とか持ってこられたら、引いちゃうかもとか思ってた

これは今回初めて『why me?』をご覧になった女性からのコメントである。
これを読んだ時ぼくは一種の既視感を覚えた。
ぼくが即興芝居(=インプロ)を始めた凡そ15年前にもほぼ同様のコメントがあったのだ。
これはとりもなおさず、世間のインプロに対する認識がここ15年間で変化していない事を意味している。
「即興芝居は、稽古やエクササイズもしくは企業研修が主なものであり、アートにはなりえない」というのが今なお根強い世間の一般的な認識なのだ。

さらに、彼女のいう「即興でありがちなぶっ飛んだ設定」という箇所もまた15年前と変わっていない。これに類似したコメントをぼくも方々でよく耳にする。
「即興芝居ってすぐUFOとか出てくるんでしょ…?」とか
「時代とかすぐ飛ばしちゃうやつでしょ…?」などと冷笑を浴びせられた事は一度や二度ではない。
この悲しい意見が生まれるからくりはこうだ。
即興芝居と謳っているにも関わらず、芝居=物語を創作できない表現者が、アイデアや設定の奇抜さもしくは大袈裟な演技や笑いに走る。
その結果出てくる、必然性の全く無いUFOやタイムワープ。
(UFOやタイムワープが悪いのではなく、必然性or演技力が無い事が問題なのだとぼくは思っている)

彼女の感想はこう続く。

だからこそ初めての体験で「おもしろっ!」って思ったし即興ならではのライブ感は、お芝居というよりスポーツみたいな感覚

 

そして、彼女の感想はこのように締め括られる。

そして今回の作品は
あの場に居た人しか観れない
本当の意味で一回限り
だからこそ一緒に体感したいって思って
多くの人が集まるんだろうな

15年前と今では世間の即興芝居へのイメージは変わっていないが、
今と15年後では変わっているかもしれない。
今回『why me?』にご来場いただいた方は100名を超えた。
もし次回も過去最多のご来場者数を記録できた場合は、
15年後の即興芝居の価値を変える力を『why me?』は持っている可能性がある。

『why me?』を観た人が楽しんでくれて、
周りの人に伝え、その波が広がって
日本中で「即興芝居っておもろくね?」となればいい。

 

※アイキャッチ画像は『why me?』のマスコットキャラ的存在マナティ。
元劇団四季だよ!おれは五季!

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