終演
『why me?』vol.5が終演した。
ご来場いただいたお客様や
声援を送っていただいたサポーターの方々には御礼をお伝えしたい。
本当にありがとうございました。
今日から何日間かはこのvol.5に関しての事を書いていきたいと思う。
〜本番前日
「本番前って緊張するんですか?」という質問をしょっちゅう受ける。
「即興なんてやってるから緊張しないのでは?」という疑問からだろう。
「緊張しますよ」とぼくは回答する。
緊張するのだ。本当に。
結末はおろかテーマも何も決まっていない即興芝居。
変な人を舞台にあげてしまったらどうしよう。
言葉が急に出てこなくなったらどうしよう。
観客が見るに堪えないようなつまらない芝居を創り上げてしまったらどうしよう。
不安な点を挙げればキリはない。
「人間はいつか死ぬ」
と無理やり死生観を持ち出せばその不安は幾らか薄れるものの、長続きはしない。
腹を括れれば楽なのだろうが何かやり残した事があるようなそんな強迫観念に駆られて眠れない夜が続く。
というのが過去vol.1〜4までのパターンであった。
今回は一味違った。
本番への不安はあったが比較的落ち着けていた。
それは「物語の構成」という事が朧げながらも掴めてきたからだと思うが、それ以上にある動画がきっかけであった。
ミニマム
本番前日、ぼくはYouTubeに流れる即興芝居(=インプロ)の動画をいくつか見ていた。
その流れでとある動画が再生された。
あるエンタメグループの動画だ。
動画の中でメンバーがかなり重大な発表をしているのだが
その発表の仕方が、全く誠意の無い態度のように感じられた。
ファンの気持ちを蔑ろにしていると思われても仕方のない動画。
エンターテイナーとしては非常にちっぽけな存在に見えた。
見終わった後、ぼくは呆然としていた。
「こんなスタンスでやっている人たちもいるんだな」と心底驚愕したのである。
そして次の瞬間
「この人たちに比べれば自分はちゃんとお客さんに真摯に誠意を持っているな」と自信を持った。
これは江戸時代の「士農工商えたひにん」の考え方と同じで
「自分より下がいるんだから頑張ろう」の精神である。
小学時代に「こういう考え方は絶対にしてはいけないよ」と教えられた事をしてしまう自分が結局は一番小さいのだ。
これとはべつに、撮影用のSDカードの行方がわからないというトラブルが21:00頃に発生したがそれでも眠る事ができた。
vol.5にしてようやく、本番への不安が減り余裕が出てきたようである。