家〜劇場


数日前からの天気予報通り、
本番当日は朝から雨が降っていた。

ビニールで包んだキャリーケースを持ち、家を出る。
いつも持っていくノートパソコンを今回は持っていかない事にした。
ノートPCは絶対に必要だと思い込んでいたし家に置いていく事に正直抵抗があったが、
結果とくに困る事はなく荷物の重さが減った為体力を温存する事ができた。
必要だと思い込んでいただけなのだ。
自分で気付いている気付いていないに関わらず、
そういうものがたくさんあるんだろうなと感じた。

行きの電車内ではとにかく大荷物が他の乗客に邪魔にならないように配慮。
月島のコンビニで歯ブラシを購入し劇場入り。
集合時間に誰一人遅れる事なくチーム全員が集合していた。
「おまえら真面目くんかよキモイな!」と茶化すと全員が眉間にシワを寄せた。
ぼくはちょっぴり泣いた。

 


小屋入り〜リハーサル


小屋入りしてからリハーサルまでは少し時間の余裕がある。

「炭水化物は3時間前に食べるといいよ!」というネットの情報を鵜呑みにしたまま、
本番の時間から逆算しておむすびを食べる。

こうしている間も各スタッフはそれぞれの仕事をしている。
5回目となる今回。これだけ回数を重ねるとそれぞれの分野でよいノウハウなどが生まれているのだろう。
ぼくの出る幕はほとんど無く、おむすび2つをゆったり食べさらにはストレッチを行う時間も確保できた。
これは本当にありがたかった。

 


リハーサル


音響・照明・ピアノときっかけなどの確認を行う。

本番はどのお客様が舞台に上がるかわからない。
どうやって物語が終わるかも読めない。
どんなやりとりになるかも決められない。
つまり、グダつく可能性をおおいに孕んでいるわけである。
だからこそ事前の不安はできるだけ潰しておきたく、綿密にテクニカルの確認を行う。
とは言え、確認しなければならない事の絶対量としては多くはないため
だいたい予定の時間より早くリハーサルは終わる。

今回も予定していた時間より30分早く終える事ができた。

 


休憩〜客入れ


休憩になると各スタッフはそれぞれ昼食を取る。

ぼくはこの時間を楽屋で心身ともに本番に向けて高めていく。
この時間、焦ったり慌てたり不安に呑み込まれたりすると、本編でのパフォーマンスは満足できないものになる事を経験から知っている。
丁寧に丁寧に時間を過ごす。

客入れ直前に、スタッフ全員に舞台上に集まってもらった。

数日前に見たNHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』で
さだまさしさんがライブ直前に
円陣を組んだスタッフ全員と
「根性〜!」という合言葉で気合を入れていたのを見た。
それに憧れていたぼくは
スタッフに「おれもあれやっていいかな?」と尋ねると
みな眉間にシワを寄せた。
ぼくはちょっぴり泣いた。

 

つづく…

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