受講生の決意
8月に入った。ここ数日の日本は暑い。とにかく暑い。
あまりの暑さに先日、虎を追いかけていた虎が暑さにやられてバターになっていた。
それをパンに塗って食べる事しかできなかった自分の無力さを呪った。
ぼくの行なっている
「即興2人芝居のためのWS(ワークショップ)」。
今シーズンも今月で3ヶ月目を迎えた。
こんなに潰しが効かないWSをよく受講してくれる人がいるもんだなぁと毎回少し感動している。
そして、以前からの受講生ががとうとう自分で即興二人芝居を行なう決意を固めたのだとぼくに伝えてくれた。
勇気の一歩
彼女が言うには
「いつまでもワークショップ受けてても仕方ないなと思って。
本番が無いと!」
との事。
ぼくは受講生に対して何かを強制した事は一度もない。
共通言語を持つために宿題にしている映画鑑賞でさえ「観れたら観ておいてね」のスタンスである。それぞれの距離感や修練度などでやりたいように付き合ってくれればそれでいいと考えている。
だが彼女の言うように、
お客さんを招いてお時間とお金を頂戴して
パフォーマンスをするという場合、
どうしても覚悟を決める必要が出てくる。
腹を括らねばならない。
ましてや即興である。
恐怖は必ず生まれる。
それでも彼女はやるという決意を固めた。
即興芝居を行なう上で最も難しく、そして最も必要な要素である「勇気」。
一歩踏み出す決意をした彼女にぼくは敬意を抱かざるを得ない。
求められるのは物語の興味深さ
とは言え、お金を払ったお客さんが求めるのは、
即興で創作される物語である。
勇気は大事だがその勇気を観に来る人はいない。
(勇気をウリにしている人や団体もいるのかもしれないが、それっていつか飽きられると思う)
勇気を持って物語を創作している様や、その物語自体の興味深さがお客さんの満足度に直結する部分である。
ここがまた勇気だけでは解決できない、一筋縄ではいかない部分だ。
一般観客(インプロや芝居をやっていない人のこと)の目に耐えうる即興芝居のパフォーマンスをやっているところは僕が知っている限り超絶少ない。
インプロ(=即興芝居)が日本にやってきたのがざっくり20〜30年前。にも関わらず日本において認知度が今なお低いという事がそれを証明している。
多分、バッグ・クロージャーの名前知っている人の方が多い。
そんなインプロ業界に逆らうように
「クォリティに特化」を謳っているぼくのWS。
そしてそれを受講し続けてくれている受講生によるライブ。
素晴らしい作品が観られるのを楽しみにしている。
詳細が判明次第追ってご連絡いたします。