why me? リハーサル
“why me?” 企画のリハーサル。
今回は40分間ノンストップを目標に臨んだが、結果は37分。
上出来であった。
観客として見ていたスタッフも
「まぁ本番に向けて仕上がってきたんじゃない?」てな具合である。
もちろんまだまだ良くできるという自覚はあるものの、始めた頃と比べるともう何段階も次元の高いところに来ている事に気づく。
#4のブログで記載した通り、20分間の芝居を成立させるのにはそこまで大きな壁は感じなかった。
問題は30分の壁である。
30分間、見ている人の興味を惹き続けつつ、共演してくれるゲストのケアも行うというのは、なかなかの壁を感じた。
「これ、マジでできるんかいな…」
やっている自分も半信半疑。
そしてなかなか超えられない壁の前で
「できなかったらどうしよ…」という恐怖が頭をもたげくるのであった。
「勇気が売ってたら買いたい」とスタッフに漏らしてはゲンナリさせていた。
ワクワクが恐怖を超える
11月某日、神楽坂のとある劇場の下見へ行った。
その場所を気に入れば、そこで本番を行う予定であった。
約束した当日にその劇場へ向かうと、他の劇団が何かしらやっていた。
ぼくは劇場の責任者を呼び出してもらい、
「本日見学させてもらう事になっていた長澤です」と告げると、
「あれ、来月ですよね??」と言われ、
ぼくが何日か前に送ったメールを見せられた。
そこには “12月” との記載があった。
「11月○日」と打ったつもりが「12月○日」と打っていたのである。
10:0でぼくに非があった。非礼を詫び、劇場を後にした。
一緒に劇場の下見に来ていたスタッフ達に「メールに1ヶ月間違えた日程で見学依頼してたみたい。め〜んご♡」と甘えん坊モードMAXで謝罪するも、彼らはぼくを濡れたティッシュを見るような目で見てきた。休日の朝から集合をかけられたにも関わらずこの仕打ちなのだ。当然なのだろう。
ティッシュはすぐに「昼ご飯を御馳走するので許してください」と言った。
赤城神社境内に存在する赤城カフェでぱくついていると、スタッフの一人が「そういえば、ここの地下にホールあるの知ってます?」と教えてくれた。
巫女さんに話を聞いてみると、確かにその存在はあるものの、一般には貸し出していないのだと言う。さらには詳細な情報の一般公開も特にしていないらしい。
その瞬間ぼくの中の好奇心が最高潮に達した。
この場所でやったら面白そう、と強く思ったのである。
このワクワクが今までどうやっても拭えなかった恐怖感を霧消させてくれた。
そしてその次のリハーサルで30分の壁を超えた。
ぼくは世界中の偉人たちのように恐怖に打ち克つ事はできないが、それを上回る楽しみを見出せるのであればこうもたやすく恐怖を乗り越えられる事を知った。