QUO カード


部屋を整理していると、QUOカードが現れた。
過去の自分からへそくりの贈り物だろうかと喜んだのも束の間、すぐに当時の記憶がフラッシュバックした。

数年前の出来事である。

当時、ぼくは原因不明の腰痛に悩まされていた。
きつめの筋トレをやっただの、重い荷物を持っただの、悪い姿勢をずっと維持していただのという、何か心当たりのある原因はなく、つまり何を改善してよいのかもわからず、ただただ痛みに悩まされていた。

外科に行ってレントゲンを撮るも何の異常も見当たらず、処方箋は湿布のみ。
(外科医曰く、「ちょっといい湿布」との事。知らんがな)

外科医に太鼓判を押されたこの湿布をいくら貼っても症状が改善する事はなく、日に日に痛みは増していき、夜、寝返りを打つのも苦痛となっていた。

そんな折、友人から「整骨院へ行ってみたら?」と勧められた。
ぼくのそれまでの人生において整骨院というものには馴染みが無かったが、”骨がズレる事で痛みが発生しているのでは” という友人の推測には、なるほどそういうものかと納得できたため、藁をもすがる想いで家の近くの整骨院の予約をネットで取った。

 

 


整骨院へ行く


その整骨院はHPにも記載のあったとおり、まだ開業して間もないらしく、祝いのスタンド花がお店の軒先に彩りを与えていた。

店内には、何々の賞を獲得しただとか、スポーツ選手の誰々にも施術しています、などのPRがズラリと並んでおり、それらすべてが「これからあなたが出会う先生はきっとあなたの痛みを取り除いてくれますからね」とぼくに安心感を与えてくれているようで、気持ちが軽くなった。

案内されるがままに店内を奥へ進むと施術用のベッドがあった。
そこにはすでに先生らしき人がぼくを待ってくれていた。

「長澤さんですね? 本日担当します山本(仮)と申します」

織田裕二のモノマネをする芸人さんにそっくりなその男性はぼくに笑みを向けてこう言った。
そうか、この人がぼくの痛みを取り除いてくれるのか。
彼から後光が射しているのをその時のぼくはたしかに見た。

さっそく現状を説明する。
数週間前から痛みがひどく今では安眠の妨げになっている事、
しかし原因が不明である事、
外科医に支給してもらった湿布には何の効果もなくその外科医をいつかはぶっ飛ばしてやりたいと思っている事、
嗚咽を抑えながらぼくは全てを山本先生に伝えた。
どの情報が先生の施術の助けになるのか、ぼくには判断がつかないからだ。
ただし、きっとこの中にきっとヒントが隠されおり、山本先生ほどの方ならきっとそれを見つけてくださるに違いないと確信していた。

「なるほど・・・なるほど・・・はぁ、なるほど。」と2歳児のような語彙力でカルテに何かを書き込んでいく山本先生。
少し浮かない顔をしつつ山本先生はこう言った。

「えーと・・・どうしよっかな(小声)・・・じゃあ、いったんベッドに寝ていただけますか?」

こうして施術が始まった(続く)

『why me?』vol.2まであと136日

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