言いたいのはとにかくおめでとう
女友達から「出産した」とのLINEが届いた。
※本記事のアイキャッチ画像は念の為べつの子の画像を使用してます。
彼女とは10年来の友人であり、今月が臨月である事をぼくは当然知っていた。
いよいよ生まれたか。
いや、しかし彼女が嘘をついている可能性は否めない。
女はいつだって構って欲しい生き物なのだ。
ぼくはすぐにLINEを返す。
「写メは?」
彼女から返信が届く。
自分の身体がボロボロになってしまった事、それでも生まれてきた赤ん坊を愛しく思うという母性に溢れた内容であった。
ぼくはそれをささーっと斜め読みし、メッセージに添えられている数枚の写真を確認する。
次の瞬間、ぼくは混乱した。
その写真に写っていたのは、赤子、というよりも猿なのだ。
小さいモンキー。
「もしかして、
彼女が産んだのは人の子ではなくモンキーなのかもしれない…」
どす黒い不吉な予感が、ぼくの胸の中で渦巻く。
彼女の子どもがモンキーであれば
必然的に彼女の旦那もモンキーという事になる。
世界的にも “多様化” が進んでいる性事情。
「LGBTQ」にモンキーの「M」も加わり、
ゆくゆくは映画『猿の惑星』のように猿がこの地球を乗っ取ってしまうかもしれない。
その時、我々人類にできる事はいったい何だろう…
そこまで考えた後、ふと我に返った。
冷や汗が床を水浸しにしていた。
ぼくは冷静になった。
そして、彼女とぼくは親友である事を改めて思い返した。
「今日まで育んだ彼女との友情に嘘はない。
であれば、旦那も子もモンキーである事に
おれが理解を示してやらずに誰ができるというのだ」
結婚はご両親にたいそう反対もされたであろう。
お猿さんとの文化の違いに面食らった事もあっただろう。
それでも、病める時も健やかなる時も共に過ごし、それらを乗り越えてきたに違いないのだ。
彼女らの歩んできたであろう逆境を想うと、今度は涙が床を水浸しにした。
ぼくは出産の祝いを猿語で返信した。
8スクロールほどを必要とする長文になってしまった。
出産祝いにはたくさんのバナナを送ってあげたいと考えている。
そして性差別は決して他人事ではない。
身近なところに眠っており、下手すれば自分自身の中にも無意識ながら潜んでいる可能性があるという事を身につまされた。
ぼくは人間とお猿の恋愛を反対しません!
母子共に無事であった事とにかくおめだく思う
命の存在は母の頑張りの証明。
良き母のもとに生まれてきたその子は一生幸せだと思う。
当日劇場にお越しいただいたお客様と2人で行なう即興芝居
『why me?』vol.2まで
あと13日!!
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